マーラー

クラシックの愛聴盤 マーラー

 

   クラシックの愛聴盤 --- マーラーの交響曲

 
最初にいきなり書いてしまいますが、このマーラーという作曲家が自分は好きなのかどうかについては実はまだよくわかりません。
冗長でシニカルな雰囲気のあのマーラー節とも言える
ものがあまり好きではないんですね。
第3、第4あたりにはあまり感じられないのですが、それより後の交響曲になると第1楽章を除く楽章にかなり感じられます。(第2番にもかなり感じます)
一番好きな第9でさえ、第2楽章と第3楽章にそれを感じるんですね。
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自分がマーラーの音楽をあまり理解していないからなのかもしれませんが、どうしても好きになれない部分(節まわし)があることは確かです。
一方で、好きで何回も聞き直してしまう曲もありますから、本当にわからないものですね。(でもそれが面白い!)
ベートーベンの交響曲の場合、回数に差はあってもどの曲も一応聴くのですが、マーラーの場合、ほとんど聴かない曲がけっこうあります。



交響曲第3番
とにかく巨大な交響曲です。
第1楽章だけで演奏時間は35分ほどもあり、最初に聴いたズビン・メータ+ニューヨークフィル盤ではこの第1楽章がレコードの片面に納まりきっていませんでした。
全体では1時間40分にも及ぶ大作となっています。
ところが、この曲は一部の楽章に声楽を取り入れたせいもあるかもしれませんが、変化が多くて途中で飽きることがありません。
実際のコンサートでもとても楽しめました。


実はこの曲はどちらかというとオーデオ志向的によく聞いていました。
前述の聴いたズビン・メータ+ニューヨークフィル盤は非常に音質がよく、ところによってはちょっとはったりめいて聴こえる(音質的に)部分もあったのですが、とにかく聴いていて気持ちいいここの上なかったです。
音場に広がりと奥行きがあり、それでいてひとつひとつの楽器がぼやけることなくピンポイントに定位する・・・と言ったらいいでしょうか。
そして何より音の鮮明さが抜群でした。
まるで映画音楽のようにわかりやすいクライマックスを持つ第1楽章ですが、
音楽の深さ・・・というより本当に精神的に気持ちいいから聴いていたんですね。
勢いで最後まで聴いてしまうこともありましたが、第1楽章だけ楽しむことも多かったです。
とにかく理屈抜きに楽しい曲・・・というのがこのマーラーの第3番のイメージです。
マーラーは「夏がやってくる」というサブタイトルをつけたそうで、そのせいかどうかはわかりませんが、なぜか初夏になると聴きたくなる曲ですね。



交響曲第4番
マーラーの交響曲で最初に聴いたのがこの第4番です。
あの独特の鈴の音で始まる第1楽章を聴き始めてすぐに、チャーミングなメロディが心をとらえます。
マーラーの交響曲の中では一番聴きやすい曲なのではないでしょうか。
演奏時間も短い方ですし(といっても1時間ほどありますが)、マーラー独特の?冗長な部分が少なく、曲としてのまとまりと完成度も高いように思えます。
自分にとってはマーラーの中では一番気軽に楽しめる曲ですね。


第3番の一部となるはずだったものをひとつの交響曲として独立させた作品ということで曲想的に第3番に似ている部分が多くあります。
自分にとっては、この3・4番コンビは、その後の交響曲に見られる一種憂鬱な雰囲気があまり感じられず、文句なく楽しめる作品となっています。


印象的な1枚としては、一番最初に聴いたズビン・メータ+イスラエルフィルでしょうか。
古典派などの演奏ではちょっと腰高感があるメータですが、この曲については変幻自在な身のこなしがなかなか見事です。
それからこの盤については、特に第4楽章のヘンドリックスの歌に魅力を感じます。
歌唱力という点から見ると、完成度は決して高くないのですが、そこに何とも言えぬ人間味を感じるのですね。
この楽章は歌手があまりうますぎてオケの楽器の一部のように感じられると味も素っ気もなくなってしまうような気がするのですが、いかがでしょうか。



交響曲「大地の歌」
ベートーベンやブルックナーが9曲の交響曲を書いてこの世を去ったという事実を気にしたマーラーは第9となるはずだったこの交響曲を第9番とはせずに「大地の歌」と命名したと言われています。
全6楽章のうち奇数楽章をテノールが歌い、偶数楽章をアルトが歌います。
全曲のまとまりという点ではマーラーの交響曲の中では最高棒といえます。
それぞれの楽章の完成度も高く、あの「マーラー節」はほとんど姿を現しません。
とにかく一部の隙もなく凝縮された作品という感じです。
この点については第9を上回っているかもしれません。


全楽章が歌付きなので、ここでは歌手の出来不出来、あるいは好き嫌い?がその盤の評価を大きく左右します。
自分としては、歌手はあまりうますぎない方がいいです。(特にテノール)
このように人生のはかなさを歌った曲であまりにも健康的に上手に歌われてしまうとやはり違和感を感じるからです。
うまくなくても人間味の感じられる歌い方に魅力を感じます。



交響曲第9番
このマーラーの第9はマーラーの交響曲の中で一番好きな曲ということにとどまらず、全ての作曲家の交響曲の中でも好きな曲ベスト3に入ります。
編成の点だけについて言えば、巨大な編成の第8に比べて、管弦楽だけのこの曲はかなりシンプルです。
にもかかわらず、音楽的には「大地の歌」を除くそれまでのマーラーの作品にない非常に複雑な表情を持つ曲となっています。

よく聴くのは第1楽章と第4楽章です。
第2楽章と第3楽章は残念ながらあまり好きになれません。
第1楽章では、はかない憧れ・・・とでも形容したらいいでしょうか。
何度も少しずつ形を変えて現れる美しい第1主題が印象的です。
そして、忍び寄る死の影と交錯して現れる幼い頃の記憶。
それがいつのまにか憧れの第1主題に回帰していく様子には思わず、「うまい!」と膝をたたいてしまいます。
第1バイオリンと第2バイオリンが織りなす複雑な旋律の妙も聴きどころですね。

第4楽章は「マーラーのフィナーレ」という感じで聴いていて心が締め付けられるようです。
後には未完の第10番(第1楽章のみ)がありますが、第4楽章としてはマーラーとしてはこれが最後になりますから。
第1楽章をさらに昇華させたような形で、憧れ、かなえられぬ思い、はかなさ、あきらめ、などを凝縮させたような曲になっていると感じます。


この曲の演奏については、1938年のワルター+ウィーンフィルの演奏が素晴らしいです。
かなり古いライブ録音なので音質は確かによくないのですが、この時代のものとしてはかなり状態がいいです。
テンポは異常なまでに速く、切羽詰まった生き物のようにうごめくオーケストラが印象的で、他の指揮者の第9とは全く別の曲に聞こえ、最初に耳にした時にはかなり衝撃を受けました。
でも、そこに全く違和感はなく、むしろ「死」を恐れたマーラーの心の中をリアルに伝えているような気がしたのです。
ナチスによって迫害を受けたワルターがウィーンを去る際の最後のコンサートという事情もあったのでしょうが、この演奏の鬼気迫る迫力の前には言葉がありません。
これを聴いてしまうと他のどんな第9を聴いてもどこか生ぬるく感じてしまいます。
マーラーの第9ファンにはぜひ聴いてほしい1枚です。


そして、この曲には思い出があります。
それまでオーディオファンでもあった自分はいろいろとレコードは持っていましたが、あくまでレコード鑑賞が中心でコンサートに行って生の管弦楽に触れることはありませんでした。
ところが、バーンスタインがイスラエルフィルを伴って来日しマーラーの第9をふる、という話を聞いて、どうしてもそれを聴いてみたくなったんですね。
大好きなマーラーの第9をバーンスタインで、しかもユダヤ人だったマーラーとは因縁の深いイスラエルフィル・・・とくれば食指は動きます。
実は、生の音を聴いてみたい、とは常々思っていたのですが、なかなかきっかけがつかめなかったという事情もあり、そういう意味ではいいきっかけになると思いました。

予想どおり演奏は素晴らしく、先に紹介したワルター盤のような緊迫感こそありませんが、マーラーへの共感から生まれるその一体感のようなものにはかなりの説得力があり、どっぷりとマーラーの第9につかることができました。
マーラーといっしょに憧れ、懐かしみ、そして怒り、泣く、と言ったらいいでしょうか。

何度もカーテンコールに応じたバーンスタインが奥に姿を消した後もまだずっと手をたたき続けるファンがパラパラといました。
大部分の人がホールを出てしまった後、さて自分もと思って席を立とうとした瞬間にコートに身を包んだバーンスタインが再びステージに現れたのです。
もう1~2割程度しか人は残っていませんでしたが、そこにいる全ての人が再び拍手を送ると、ホールの外に出た人の一部までもが戻ってきて数は少ないながら再び拍手の渦が・・・。
バーンスタイン自身がよほどその日の第9の出来に満足したからなのでしょうが、感動的な一幕でした。

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